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ストレスのメカニズムと対策

目に見えないストレスがどうやって心を蝕むのか、そのメカニズムが最新の研究で解明されつつあります。

日常の様々なストレス、恐怖や不安を感じると脳の中にある扁桃体が活動を始めます。すると、脳からの指令で副腎から様々な物質が分泌されます。ストレスホルモンです。ストレスホルモンの活動は心臓の拍動を早め、血圧を上昇させるなど、様々なストレス反応を起こします。

 

本来のストレス反応は太古の厳しい自然の中で生き残るために身につけたものでした。生命の危機に直面したときに、心拍数などを上げることによって体を動かしやすくします。例えば狩りの途中、ライオンに遭遇した時に闘争か逃走をしやすくするのです。そして、緊急事態が去った後、ストレスホルモンの分泌は止まります。

 

天敵がいなくなった現代は、仕事上の様々なことや人間関係が、精神的な負担になっています。立て続けのストレスに、休む間もなく反応し続けると、ずっとストレスホルモンを出していないといけない。そういう社会で長時間労働が毎日続く、睡眠も取れないことで慢性的にストレスホルモンが過剰に分泌されます。

 

さらに、状況を悪化させるもう一つの仕組みがあります。それは人類に備わった記憶力や想像力です。例えば、上司からの厳しい叱責など大きなストレスに晒された場合、家に帰ってからも叱られたことを思い出してしまう。そして、また明日も叱られてしまうかもと想像してしまう。そのたびに脳はストレスを感じストレス反応を起こします。このように過去や未来に想像を巡らせてしまうことをマインド・ワンダリング(心の迷走)といいます。

 

ハーバード大学が2,250人を対象にマインド・ワンダリングに関する大規模な行動心理調査を行いました。すると、目の前のことを考えていないマインドワンダリングが47%という結果です。私達が生活している半分の時間でストレスを感じやすい状態にあるのです。

 

さらに、幼少の頃に受けたストレスが30年後どのような影響が現れるのか調査すると、子供の頃に受けたストレスが強いほど、大人になって扁桃体が大きくなる傾向にあることが分かりました。扁桃体が大きくなると小さなストレスにも過敏に反応してしまうと考えられます。

 

広島大学はストレス対策で世界に先駆けた研究を行っていることで有名です。ストレスに弱く、うつ病(0.6%)のリスクを抱える閾値下うつ(15.3%)を、うつ病の予備群と着目して研究しています。広島大学では、閾値下うつの人が心の健康を取り戻すための医療に基づく専門のプログラムを開発しました。どの様な行動がどれくらいの効果があるか、10点満点で点数を付けて客観的にわかるようにするのです。気分と行動の関係に気づき、その行動が良かったら繰り返す。習慣化していくことが重要と言います。自分のストレスをしっかり認知しながら対策を繰り返すことで、認知を司る前頭葉が活性化する。前頭葉は扁桃体の活動を抑制するので、ストレスへの過敏な反応が無くなり、心の健康を取り戻すことにつながると考えられます。

 

 

コーピング(ストレス対処法)

あらかじめストレス対策をリストアップしておく。例えば音楽を聴く。本を読む。水を飲む。なるだけ多くをリストアップしておく。そして色々なストレスがかかるたびに、そのストレスに見合った気晴らしを行います。その結果ストレスが減ったかどうかを判断します。まだストレスを感じていたらさらに気晴らしを続けたり別の気晴らしに切り替えたりします。このようにストレスの観察・対策を意識的・徹底的に繰り返す。これがコーピングです。

 

 

マインドフルネス

マサチューセッツ大学医学部で開発されたマインドフルネス・ストレス低減法は、瞑想にまつわる宗教性を一切排除した、ストレスを排除するための心理療法です。アメリカではストレス対策の柱として推奨し、大企業をはじめ、学校では子供たちが、刑務所では受刑者が熱心に取り組んでいます。マサチューセッツ大学でのマインドフルネスは8週間のプログラムで行なっています。プログラムを終えると体の不調はおよそ35%、心の不調はおよそ40%軽減されることが研究で分かりました。

 

マインド・ワンダリングでは、上司に叱られた過去を思い返してクヨクヨしたり、また叱られるかもと想像したり、その度にストレスが脳の中で再生産され、ストレスホルモンのコルチゾールが過剰に分泌されていました。マインドフルネスでは今に注意を向けることでこの連鎖を止めます。記憶や想像でストレスが増幅する連鎖が止まり、コルチゾールの分泌が抑えられる可能性があるのです。記憶や感情に関わる海馬はストレスにより萎縮すると、うつ病につながる可能性があると指摘されていますが、プログラム後の検査では、海馬の灰白質に5%増加が確認され、ストレスに蝕まれた海馬が回復する可能性が見えてきた。ストレスで増幅する扁桃体も5%減少が確認され、ストレスへの過敏な反応が抑えられると考えられます。

 

幼い頃に強いストレスを体験した人や、ストレスによって蝕まれた脳もマインドフルネスによって正常な状態へ戻れる可能性がある事を最新の科学で明らかにしています。


 

 

うるうカイロプラクティック院

鹿児島県霧島市国分野口町18−22

TEL 0995-46-941

author:潤 昭治(うるう しょうじ), category:ストレス&長寿対策, 14:58
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